シナリオ 竜空より来たるモノ

 
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チャプター 1


時空の歪み『界蝕』から2隻の飛空挺が飛び出してきた。
夢ノ国では、しばしば無作為に他の次元と繋がってしまうのだ。

マーシュ「マスター。前方に浮遊島の反応があります。でも、いつもと様子が違うような。」

竜の騎士「何か変だぞ。さっきの嵐の影響かな?」

プティ「でも、前方に大きな拠点がありますわよ。」

竜の騎士の飛空挺を轟音と共に、もう一隻の飛空挺が追い抜いていった。
空賊アラド。ドラゴンスカイ随一のトレジャーハンターだ。

アラド「おい、竜の騎士。たまには俺にも拠点を落とさせてくれよ!!
    俺は腕っ節だけじゃねえ。軍略に長けた領主なんだぜ!!」

竜の騎士「そういえば、アラドがユニットを使っている所は見た事がないな。」

マーシュ「ちょ、ちょっとアラドさん。ここはドラゴンスカイじゃないと思いますよ。」

カリーナ「そうですね。地面や海もあるようですしね。」

竜の騎士「何らかの影響で別の世界に来てしまったという事か。」

カリーナ「おそらく夢ノ国という世界かと思います。界蝕という現象で無作為に別次元と繋がってしまう事があるからです。」

プティ「あなた本当に色々知ってますわね……。」

竜の騎士「じゃあ、攻撃しちゃマズイんじゃないのか?おい、アラド!! やめるんだ。」

マーシュアラドさん。通信回線切ってます!!」

プティ「もーう!! なんでこんな時に限って切ってるんですの!!いつも勝手に割り込んでくるのに!!」

竜の騎士ユイリィの小型グライダーでアラドの船に行って直接止めてもらおうか。」

マーシュユイリィ何処なの?ユイリィ?」

プティマーシュが呼んで出てこないなんて何事ですの!!」

カリーナ「さっき船のセンサーで何かを見つけて出て行きましたよ。」

竜の騎士「まいったな、こりゃ。仕方ないアラドの船に砲撃してでも止めさせないと。」

カリーナ「大丈夫だと思いますよ。夢ノ国には、竜の騎士と同じ様な存在がいるので。」

プティ「私の愛しのマスターは唯一無二の存在ですわ!!」

竜の騎士「どういう事だ?」

カリーナ「つまり世界を救う存在「勇者」がいるって事です。」


チャプター 2


アレウス「勇者。大変だ。王都が襲撃されている!!」

ルー「鳥型のロボットが手当たり次第に爆発しているのです。」

トト「ルー姉さん。あれはボムクックという人造兵器だよ。」

テラス「ぼむくっく?」

トト「敵対行動さえしなければ襲ってこない。でも壁や施設にぶつかって自爆する。その威力は絶大っ!!」

テラス「充分、迷惑だよっ!!」

アレウス「私の結界で重要施設や住居は防御する。ボムクックを倒してくれないか?」

ルー「勇者様。お願いします。」

トト「あれ? 勇者のヒト? ハムのヒトは?こんなに美味しい状況なのに突っ込みがないなんて。」

テラス「ハムトは、きっと何処かで寝てるか何か食べてるんだよ。」

アレウス「まったくニャハムート族は勇者をサポートするガイドではないのか。」

トト「まぁ、ニャハニートだからねぇ。ハムのヒトは……。」


アラド「俺は腕力と操船技術だけの男じゃない。そろそろ領主としての腕を見せてやらんとな。
    戦いの基本は拠点の壁を壊す事よ。それにはボムクックが一番だ。
    ボムクックの破壊力の前には鉄壁の城壁も一発で吹き飛ぶって……あれ?
    俺のボムクックが壁に激突する前に壊されていく!!
    嘘だろ、相手は1人だぞ!?」

アラドボムクックはあなたの手によって破壊されていった。

アラド「ふ、ふふふ。焦っちゃいけねぇ。ボーイ&ガール。
    相手の思わぬ反撃にもテンパったらドラゴンスカイでは生き残れねえのよ。
    つまり……だ。相手の体力が尽きるまでボムクックを投入だぁぁぁぁ!!」

これからドラゴンスカイを始めようとするお客様。また既に始めているお客様。
アラドの真似をすると高確率で敗北しますので、ご注意ください。


チャプター 3


ハムトは漆黒の闇の中にいた。いつ気を失ったのか。まったく覚えていなかった。

ハムト「は、ニャニャ?ここは何処ニャ!!
    今は、ライトニングさんイベでお休みのはずニャ。
    ハムトは休暇に家で引きこもってスクエニゲームをしてたはずニャ!!
    しかも、真っ暗ニャ。何も見えないニャ……。
    いやハムトは猫キャラだったのニャ。ハムトアイなのニャ。」

ハムトが周囲を見渡すと、そこは女性の部屋のようだった。
化粧品やぬいぐるみ等が並ぶ中、壁と天井にはびっしりと黒髪の女性の写真やポスターが貼られていた。

ハムト「ギニャ―――――!!な、なにここ怖いニャ!!」

部屋の扉が開き、一瞬だけ光が差す。しかし、扉の締まる音と共に闇の世界へ戻った。

ユイリィ「あら、お目覚めのようね。」

ハムト「お、お前がハムトをここに連れてきたんかニャ?」

ユイリィ「そうよ。だって、あなたとっても可愛いから、お姉様が喜ぶと思ったの。」

ハムト「ニャ、ニャにを言っているのかニャ?」

ユイリィ「だから、今後は私達と一緒に来て欲しいの。お姉様が喜ぶと思うから。」

ハムト「いやぁ、申し訳ニャいのだけどー。ハムトには勇者という相棒がいるのニャー。
    勇者はハムトがいないと全然ダメな子なのでほっておけないニャ。
    そういう訳でして、失礼しますのニャー。」

ハムトは珍しく本気を出して猫の様に俊敏に動き部屋を脱出しようとした。
ユイリィは稲妻の様にハムトの動きに反応すると、ハムトのパーカーを掴んだ。

ハムト「く、暗闇でも目が見えるのかニャ?」

ユイリィ「ええ、私はオリジナルアーチャーだから。暗闇の中でも敵を狙う事が出来るの。」

ハムト「オリジナルアーチャー?お前、ドラゴンスカイのユイリィニャ?」

ユイリィ「あら、私の事を知っているの?」

ハムト「(これはヤバイニャ。ユイリィはお姉様のためなら何でもする奴ニャ)
    (このまま行くと、ドラゴンスカイのガイドにされてしまうニャ)
    (た、助けてー勇者ー……)」

チャプター 4


ルー「勇者様。大変です。ボムクックと同時に巨人の様なユニットが迫っています。」

トト「あれはゴーレムって言うんだ。非常に硬く体力も攻撃力もある。」

アレウス「しかし、動きが鈍いから付け入る隙はありそうだな。」

テラス「夢ノ国の冒険者にも連絡したよ!!」

ロメウス「お久しぶりです。勇者。」

ジュリエット「私達は王都に店を構えたばかりなのです。壊されてはたまりません。」

アレウス「これは頼もしい援軍だな。」

テラス「他のみんなも来てくれるから大丈夫だよ!!」

トト「こんな事もあろうかと!!試作型魔導キャノンを作っておいたんだ。」

ルー「突然どうしたのトト?魔導キャノン?」

トト「ボクとアレウス兄さんが作った王都防御兵器さ。」

アレウス「ドラゴンスカイの文献も王都の図書館にあるからな。王都防衛用に作ってみたんだ。
     魔導キャノンは範囲攻撃で地上のユニットを攻撃が出来るのだ。
     これでゴーレムの力を大きく削ぐ事が出来るぞ。」

テラス「でも、試作型なんでしょ?」

トト「フフフ、今日が実戦って訳だよ。」

アレウス「我らが王都を脅かす者に容赦はいらん。」

テラス「ちょ、ちょっと2人共冷静になってよ!!」

ルー「ちょっと心配ですが、勇者様の援護にはなるかと思います。」

アレウス「魔導キャノン発射ー!!」


チャプター 5


ユイリィ「あなたが何で私の事を知っているかは知らないけど、
     ここで大人しくしている分には悪い様にはしないわ。名前は何て言うの?」

ハムト「ハ、ハムトニャ……。」

ユイリィ「可愛い名前ね。きっとお姉様も気にいると思うわ。」

ハムト「(こいつマジでハムトを拉致る気ニャ。)
    (ニャんとか脱出しないとドラゴンスカイに連れて行かれるニャ……。)」


チャプター 6


アラド「しかし、男は1度やると決めたら退路は考えちゃならねえのよ。
    しかも、魔導キャノンらしき者を使っているじゃねえか。
    だが甘い。真夏にクーラーの効いていない部屋で食べるショートケーキの様に甘たっるい奴らだ。
    魔導キャノンは空中を攻撃できないのだよ!!
    つまり空中を飛ぶユニットジャイロスカルの出番って訳よ。
    ゴーレムと一緒にジャイロスカルも投入するぞ!!
    空と陸からの同時攻撃だ!!これなら奴らも終わりだ!!
    ……。なんか、今日の俺……三下の悪役みたいだな……。」


チャプター 7


アラド「お、俺のジャイロスカルが破壊されているぞ。
    あの勇者と呼ばれているユニットは何なんだ……。
    しかぁし!!こっちにはまだ切り札があるのよ。
    ここで伝説の竜の一種ベルモートを使うぜ。
    ベルモートは攻守に優れた一騎当千のユニットだ。
    攻撃に使っても良し。援軍としてチームの領主に送ってもいいんだ。
    まぁ、ナイトポーンという対空戦に強い防衛兵器には弱いんだがな……。
    だから使う時は気を付けないとダメだぜ!!
    って……。なんで俺は誰かに語りかけてるんだ……。
    まるで何かの説明をしているようだぜ。
    まぁ、いい。行け!!ベルモート!!」


チャプター 8


アラド「ま、まさかベルモートまで倒されてしまうとは……。
    フ……。どうやら、俺を本気にしちまったようだな。勇者よ。
    魔導アーマー起動っ!!
    魔導アーマーはドラゴンスカイの最強ユニットだ。
    魔導アーマーの通った後には、ぺんぺん草一本も生えない無人の荒野となる。
    こいつだけは使いたくなかったぜ(高いからな)。
    でも、勝機と見れば惜しみなく戦力を投入するのが名将ってもんよ。
    焼き払え!!魔導アーマー!!ハッハッハッハッハ!!
    あ、ポチっとな。」


チャプター 9


ハムトがユイリィの部屋でレジェンドワールド引退の危機を迎えていた頃――

竜の騎士アラドの奴意地になっているな……。被害も相当な物だ。」

プティ「マスターのユニットを投入して、夢ノ国を援護してはどうかしら?」

マーシュ「拠点を攻撃し始めると、他の領主はユニットを展開出来ないのよ……。」

プティ「なるほど。それでドラゴンスカイでは領主同士の殴り合いになるのですわね。」

竜の騎士「ぶつけよう。」

プティ「は?マスター何をおっしゃってるの?」

竜の騎士「この飛空挺をぶつけてアラドを止めよう。」

マーシュ「マスター……。本気じゃないですよね?」

竜の騎士「グレンさんカスタムの衝角で突撃すれば、アラドも止まるだろう。」

マーシュ「マスター。せめて威嚇射撃からはじめてはどうでしょうか?」

プティ「無駄よ。マーシュ。マスターは自分の船の性能を試したいのよっ!!
    マスターはアラドの様に船や自分で戦う必要はありませんからね。」

竜の騎士「(こんな機会は滅多にないぞ)」

プティ「見なさいマーシュ。あの少年の様な瞳の輝きを!!」

マーシュ「ど、どうすればいいの?」

プティ「男はいつまでたってもボーイなのよ。それを許してあげるのがいい女ってもんですわ。」

マーシュ「何か盛大に間違っていると思うわ。」

竜の騎士アラド。お前にこの衝角を使う事になるとはな……。いけええええええ!!」

マーシュ「あー、マスターが勝手に舵を――!!」

竜の騎士の飛空挺の前面から巨大で鋭利な刃が展開すると、凶悪な光を放つ。
竜の騎士アラドの船に向けて一気に加速した。

マーシュ「私達、完全に迷惑な人達だわ……。」


チャプター 10


アラド「ん?レーダーに反応があるな。何かが猛スピードで近付いてくる。
    なんだ。竜の騎士め。加勢するつもりか。
    悪いが、俺はまだ本気は出しちゃいねえぜ。
    なんで衝角を出してるんだ。どうして、そんな速度を出してるんだ?
    いや、ちょっと近いよね。このままじゃ衝突しないかね?
    空では安全運転だよ。竜の騎士君って、ぶつかるってオイ!!
    な、なんでだぁぁぁぁあああああ!!」

凄まじい轟音と共に2隻の飛空挺は衝突し、黒煙をあげ王都へ墜落していった。

竜の騎士「やったぞ。成功だ!!」

マーシュ「何喜んでるんですか、マスター!!大惨事ですよ。」

カリーナ「まぁまぁ、マーシュさん。あのままアラドさんを放っておく訳にはいかなかったと思いますよ。」

プティ「思ったより強い衝撃でしたわ。これもマスターへの愛の試練だと思えば我慢できますわ。」

マーシュ「もーう!!墜落しているんですよ!!」


チャプター 11


ハムト「ひぃー、今の内に、逃げるのニャ!!
    船が墜落してくれたおかげで、あの悪魔の部屋の扉も破壊されたのニャ。
    このチャンスを逃したら終わりニャ!!」

ユイリィ「ハムト。あなたはお姉様を喜ばすという大事な使命があるのよ!!」

ハムト「ギニャ――!!明日へ向かって走るのニャー!!」

プティ「な、なにごとですの!!」

マーシュ「キャっ、痛い!!」

ハムト「人ニャ。助かったのニャ!!」

ユイリィ「お姉様大丈夫ですか?ハムトォ!!お姉様の肌に傷がついたらどうするんだ!」

ハムトは素早くマーシュの後ろへ隠れた。

ハムト「ハムトを拉致っておいて何なのニャ!!」

マーシュ「いたたた……。ユイリィ、これは一体どういう事なの?」

ユイリィ「いえ、そのお姉様に喜んでもらおうと思って……。」

マーシュ「勝手に連れて来ては、駄目でしょ。えーと?」

ハムト「ハムトニャ。夢ノ国の勇者の相棒。ハムトニャ!!」

竜の騎士「どうしたんだ。騒がしい。船内の点検が大変な時に……。」

カリーナ「あなたが壊した様なものですよね……。」

プティ「マスター。またマーシュユイリィですわ。まったく二人共レディとして失格ですわ。」

ユイリィ「こ、この。非常食の分際で……。」

竜の騎士「一旦、船を降りて夢ノ国の人に謝りに行こう。」

マーシュ「そうですね。アラドさんも心配ですし。」

ハムト「(や、やっと勇者に会えるのニャ……)」


チャプター 12


ハムト「勇者ー!!やっと会えたのニャ!!もう二度と会えないかと思ったニャ。」

マーシュ「勇者様。神官様。この度は大変ご迷惑をおかけしました。」

ルー「何か誤解があったようですから……。もう謝らなくていいですよ。」

竜の騎士「あなたが勇者か。自分は竜の騎士と呼ばれているんだ。そういう呼ばれ方って照れくさいよな。」

マーシュ「マスター……。呑気なんだから。」

プティ「本当に、うちのアラドがご迷惑をおかけしまして……。もう切腹ものですわ。」

アラド「お、俺は領主としての力を見せようと……。」

竜の騎士「後先考えずに行動するなよ。アラド。」

マーシュ「ちょっとマスター。マスターも飛空挺をぶつけるとか危ないじゃないですか!!
     一歩間違えば大惨事でしたよ。王都は実際に被害を受けていますし。ねえ、アレウスさん?」

アレウス「う、うむ……。」

マーシュ「ここはドラゴンスカイじゃないんです。拠点は勝手に修復しないんですよ!!」

プティマーシュのキレスイッチが入ってしまいましたわ。ああなると止められないのですわ。」

ユイリィ「(怒っているお姉様も素敵。私もきつく叱って欲しい)」

トト「いや、まぁ落ち着いてよ。怪我人も出なかったし。ボクは防衛システムを試せたしね。」

マーシュ「あなたもマスターとアラドさんと同じ思考ですね?戦いを遊び半分でやらないでください!!」

テラス「(こ、怖い……)」

マーシュ「マスター。アラドさん。トトさん。ちょっとこっちに来て座りなさい!!」

三人はマーシュに正座させられてこっぴどく怒られた。

アレウス「(私もノリ気だったのは黙っておこう)
     勇者よ。すまない。彼等のユニットが魔獣として具現化しつつある。すまないが倒してもらって良いだろうか?」

ハムト「勇者。あまり関わり合わないほうが良さそうニャ。行こうニャ。」


チャプター 13


アラドはテラスの交信術を通して夢ノ国の全住民に謝る事になった。

アラド「勇者。竜の騎士。見せてやるよ。男の土下座って奴をよ。」

プティ「何、格好つけてるんだか……。」

アラドは王都の広場に出るとたくさんの都民が見守る中、堂々と前に進み出た。
どすんと両膝を付き、両手を地につけ、深々と頭を下げる。

アラド「この度は夢ノ国の皆様に大変ご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ありませんでした!!
    (すまねえ。みんな。俺が調子にのったばっかりに……)」

テラスの交信術でアラドの謝罪は伝わったが、無論、土下座は見えない。
その時、王都の上空を一筋の黒い流星が横切った。
にわかに都民がざわめき始める。アラドは頭を下げながらそれを聞いていた。

アラド「ん?なんでみんな騒いでやがるんだ。俺の漢気に打たれたってか?」

テラス「あれは何?」

アレウス「黒い影が王都の上空を飛び回っている。」

トト「鎧を着た騎士に見える。いやテクノロジーを使ったアーマーかな?」

ルー「邪悪な気配を感じます。」

竜の騎士「あ、あれは黒騎士だ!!」

ドラゴンスカイの面々は一斉にアラドを見た。

プティ「ちょっと、おふざけはいい加減にして欲しいですわ……。」

ユイリィ「これはいただけませんね。全然笑えませんよ、アラドさん。」

マーシュアラドさん。口で言ってもわからないようですね。」

アラド「違う!!俺は何も知らない。本当だ。マーシュ、拳を収めてくれ!!」

ルー「あのー。何かご存知なのでしょうか?」

プティ「あぁらヤダ!!何も知りませんことよ!!夢ノ国にはあんな物もあるんですわねぇ。」

マーシュ「ちょっとプティ。本当の事を……んんっ。」

ユイリィプティ。お姉様の可憐な唇を、そのおかしな耳げな物体で塞がないで!!」


黒騎士「アッアッアッハッハッハッハヒィ!!
    この鎧は最高だなぁ。俺の本来のパワーは抑えられちまうが、着ごごち最高だぜぇ!!」


アレウス「黒キ者なのか!!」

トト「黒キ者が黒騎士の鎧を着てるから「黒キ騎士」って所か……。」

ハムト「勇者。詳しくはドラゴンスカイの本編をやってみるニャ。バレバレだと思うけどニャ。」

カリーナ「黒キ者……。こちらの世界の魔王。ラスボスの様なものですかね。
     黒騎士のアーマーを盗まれて、悪用されたって所でしょうか。誰の物とは言いませんが。」


黒騎士「この力を使って、ちょいと遊ばせてもらうとするか。」

夢ノ国の上空を無数の黒い影が覆った。黒キ者の力で黒騎士を魔獣として具現化させたのだ。


アラド「ここは誰の責任かどうかは後にして、あの量産型偽黒騎士軍団を倒そうじゃないか!!」

竜の騎士「勇者さん。自分は、残りのユニットを投入して夢ノ国を護ります。」

竜の騎士が剣を高々と掲げると様々なユニットが一斉に出現し起動し始めた。

ルー「すごい。これが竜の騎士……。」

竜の騎士「いくぞ!!」

竜の騎士が号令をかけると、ユニットは神々しい光を発しはじめた。

テラス「アラドさんのユニットと違うのかな?」

カリーナ「あれが竜の騎士の力です。ユニットの力を何倍にも増強する事が出来るのです。」

ユイリィ「私もお姉様を護るために戦います!!」

ハムト「こっちも負けてられないニャ。勇者やったるニャ!!」


チャプター 14


プティ「マスターやるのですわ!!潰すのですわ!!殲滅の全滅ですわ!!」

ハムト「勇者ー!!右ニャ!!いや左ニャ!!距離を取るニャ!!いやバランスニャ!!」

プティ「流石マスター!!素敵すぎる指揮ですわ!!マスター1人で充分ですわ!!」

ハムト「なんニャ。うちの勇者にケンカ売ってんのかニャ。」

プティ「ああら、ヤダ。そう聞こえてしまいましたぁ。
    うちの主人が有能すぎるからですわ。ごめんあそばせ!!」

ハムト「プププのプーニャ。」

プティ「何笑ってるんです!!」

ハムト「うちの主人って……。ハムトは知ってるニャ。お前、竜の騎士に相手にされてないニャ!」

プティ「な、なんですって――!!マスターのアレはツンデレですわ!!ツ・ン・デ・レ!!」

ハムト「デレた所を見た事ないニャ。」

プティ「どうしてわかるんですの!!」

ハムト「教えてやらないニャ。しかも竜の騎士マーシュの間に入って事あるごとに邪魔してるニャ。」

プティ「ち、違うわ!!マーシュが私とマスターの邪魔をしているのですわ!!」

ハムト「まるで意地の悪い小姑ニャ。」

プティ「許せませんわ。その言葉だけは許せませんわ。もうウォーですわ!! 戦争よ!!」

マーシュ「ちょ、ちょっと2人共ケンカをしたら駄目ですよ!!」

ハムト「なんニャ。意地の悪い小姑のいびりに対してささやかな仕返しをしてあげたのニャ。」

マーシュプティの事ですか?」

プティ「ちょ、ちょっとマーシュ!!私は小姑じゃないですわ!!」

ハムト「まぁ、なんニャ。マーシュはもっと積極的に竜の騎士にアタックしたほうがいいニャ。」

マーシュ「な、何を言ってるんですか……。私とマスターは領主と従者の関係です!!
     従者は領主より三歩下がって歩くべし。と言われています。それだけです。」

ハムト「そういう古風なの流行らないニャ。まぁ、ここはハムトが恋のキューピットになってやるニャ。
    おーい、竜の騎士ー。マーシュはねー竜の騎士の事が好きなのニャー。」

プティ「中学生や小学生の発想ですわね……。」

竜の騎士「すまん。戦闘に集中してて聞こえない!!」

マーシュ「ちょ、ちょ、ちょっとあなた何してるんですか!!」

ハムト「男は自分に好意があると聞いて悪い気はしないニャ。竜の騎士に教えてやるニャ。
    (まぁ、面白いからやってんのだけどニャ)」

竜の騎士「ハムトさんだっけ?マーシュがどうかしたのか?」

ハムトが言葉を発するよりも速く、マーシュの拳がハムトを捉えた。
ハムトは声にならない呻きを上げ、蒼空へ消えた。

トト「すごいアッパーだ。マーシュって人。何か特別な力を使えるの?」

カリーナ「優秀な従者ですが、身体能力は人間と変わりませんね。」

プティ「さようならハムト。マーシュは感情が沸点を超えると予想が出来ない力を発揮するのよ。」


チャプター 15


アラドユイリィは襲い来る黒キ騎士を斬り伏せ、射抜き退けていった。

アラド「ここらでいい所見せないとな。」

ユイリィ「そうね。私達、こちらの世界に来て株大暴落でしょうからね。」

アラド「正直、夢ノ国の連中に借りを返せるか不安だぜ。」

テラス「大丈夫だよ。みんなが来てくれたおかげで助かってるんだよ。」

ルー「異世界の人達が夢ノ国に訪れると、私達の世界はより強固な物になるのです。」

テラス「この世界は色々な世界と繋がる代わりに酷く不安定なんだよー。」

ルー「夢ノ国は意思の力で出来ています。皆さんの存在が強ければ強いほど大きな力となるのです。」

ルーはアラドユイリィのオーブを創り出し2人に見せた。

ルー「勇者様は皆さんや他の世界の英雄の力を使って戦う事が出来るのです。」

アラド「ほー、なるほどなぁ。」

ユイリィ「私のお姉様への愛が強ければ強いほど良いって事ね。」

プティ「それは違うと思うけどね。」

テラス「ハムトは何処にいったの?」

プティマーシュによって空へ消えたわ。戻ってこれると良いのだけど……。」


チャプター 16


黒騎士「おっと、遂に本体を突き止められちまったか。流石、勇者と竜の騎士だな。
    勇者はご存知だと思うが、本体である、この黒騎士を倒さないと魔獣の発生は止まらない。
    果たして、お前ら2人に俺が止められるかなぁ?
    アッアッアッハッハッハヒィ!!」

竜の騎士「変な笑い方する奴だな。勇者さんと力合わせれば、あんな奴楽勝だ。
     周りに出てくる黒騎士は引き受ける。思う存分戦ってくれ!!」


チャプター 17


あなたと竜の騎士の連携攻撃によって、黒騎士は爆散して落ちていった。

黒キ者「アッアッアッハッハッハヒィ!!
    なかなか素敵なパーティーだったぜ。お二人さん。今回は俺の負けって事でいいぜ。
    お互いドラゴンスカイの力も得ることが出来たしな。
    アッアッアッハッハッハヒィ!!」

竜の騎士「どうやら、倒したみたいだね。勇者さん。」

ルー「他のユニットも全て倒しきったようです。」

マーシュ「お疲れ様です。マスター、勇者さん。」

アレウス「黒キ者は随分あっさりと引き下がったな。」

カリーナ「あなた達が私達のオーブを手に入れた様に、黒キ者も新たな魔獣を手に入れたからではないでしょうか。」

トト「黒キ者の目的は達成したって事か。」

アラド「ところで俺達はドラゴンスカイに帰れるのか?」

プティ「そうですわ。こっちで一生を送る事になるんですの?」

ユイリィ「私はお姉様と一緒なら何処でも良いです。」

ルー「夢ノ国と異世界は常に繋がる機会があります。」

トト「界蝕は悪い事ばかりじゃない。他の世界と繋がり力を取り込む事がある。」

アレウス「あなた達の存在は夢ノ国よりドラゴンスカイでのほうが強い。
     だからドラゴンスカイの世界がいずれあなた達を引き戻す事になると思う。」

竜の騎士「そうか。良かったよ。自分はやらなければならない事があるんだ。」

マーシュ「マスター……。」

竜の騎士「大切な人達と約束したんだ。」

プティ「マスター。それまでは観光ですわ!!バカンスですわ!!」

アラド「いいねえ。この世界は冒険の塊みたいだしな!!」

マーシュ「もう面倒事は駄目ですよ。」

テラス「魔獣も多いけど、素敵な場所と素敵な人達がいっぱいいるよ!!」

マーシュ「楽しみです。行きましょう。マスター。みなさんどうもありがとうございます。」

ルー「また来てくださいね。」

テラス「待ってるよー。」

トト「領主の城作りは参考になるな。次はボクがドラゴンスカイに行こうかな?」

アレウス「また会おう。」

竜の騎士「それでは行きます。勇者さん。いずれまた何処かで会いましょう。」

あなたの答えは飛空挺のエンジンの音にかき消され、竜の騎士にしか聞こえなかった。
あなたと神官に見送られ2隻の飛空挺が飛び立つ。
2隻の飛空挺は競う様に夕陽の中を進む。その姿は二頭の竜の様であった。
彼等はいずれ戻るだろう。
竜の支配する空、蒼穹の果てドラゴンスカイへ――


チャプター 18


ハムト「あー、大変だったのニャー。今回は2つの作品がコラボする映画版の様な話だったのニャー。」

トト「ハムのヒト何処に行ってたの?もう全部終わったよ?」

ハムト「マーシュにアッパー食らったらドラゴンスカイの世界に飛ばされたニャ。
    あっちの世界に行って、ハムトは魔法カードにされてたニャ。」

テラス「え?本当すごいじゃない!!」

ハムト「ルーも魔法カードに使っていいって勝手に契約してきちゃったのニャ。」

テラス「えぇ!?勝手にそんなコトしちゃダメだよ!」

ハムト「しちゃったもんは仕方ないニャ。ルーもドラゴンスカイの世界に飛ばされる運命なのニャ。
    という訳で、ハムトのカードが出る予定のドラゴンスカイもよろしくニャ。
    ドラゴンスカイの世界にもハムトの可愛さを刻んでしまったのニャ。
    この可愛さは罪なのニャー。」

トト「羨ましいなぁ。ボクもいつかドラゴンスカイに行きたいよ。」

テラス「とっても綺麗なんでしょ?」

ハムト「むふふニャー。あそこは綺麗だけど戦いの世界ニャ。
    2人の様なお子様には荷が重いニャ。かなりシリアスなのニャ。」

テラス「あの人達見てると、そうは見えないけどなー。」

ハムト「気になった人は是非ドラゴンスカイを遊んでみると良いニャ!!」

トト「最後の最後で宣伝か!!」

ハムト「しっかり仕事しちゃったのニャー。」


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